何も贅沢もしてない。自分用に私物も買ってもいない。
ただただ毎月毎月、経営する会社の資金繰りに追われていた。
従業員の給与だけは最優先して払ってきた。
しかし、今後の展開見込みも考慮し、Xデーの前日に
当時の幹部を集め、それぞれの見解を出し合った。
明日の手形期日分の決済がもはや不可能だ。
後で思えば、落ち着いて対処し、まだ打つ手はあったかもしれない。
皆で出した結論は明日朝一で法律事務所に駆け込む、つまり
明日から営業を停止することにした。
この時は、その後に大変な毎日が訪れるとは考える余裕すら無かった。